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2012/5/20 第4回型強化練習会

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レポート:見山道場指導員 三田宗宏

5月20日(日)久喜総合体育館にて第4回型強化練習会が行われ、見山師範、仁美先生をはじめ蓮田支部指導員6名が参加しました。今回は、全ての型の基本である「三戦」「内歩進」を中心に、最後に、次回のアジア大会へ向けて、「撃砕小」の全日本大会の反省点を振り返りました。

 まず、「三戦」ですが、今回は極真館の三戦ではなく、岡崎師範が考案された、どんな場所でもすぐにできる短縮形の三戦を指導いただきました。岡崎師範は、稽古や指導の合間、少しの時間があれば、道場の片隅でもこの型を行っているとのことです。動作については道場にて皆様にお伝えすることにしますが、意識のポイントとして、三戦を構える際に、手の小指と薬指が腕の神経を伝わって臍下丹田を前に引っ張る意識と、構えを決める時に上下に収縮する感覚(実際に体を上下に縮めるわけではない)が重要であるとの指導をいただきました。

「内歩進」では、一つ一つの動作の中で留意すべき点を指導いただきました。こちらも細かい点は、道場にて皆様にお伝えすることにしますが、岡崎師範が指導されたポイントは、一つ一つの動作における“発力”そして“力の方向”と“重心の移動”ではなかったかと自分は理解しています。特に発力の解説で、力の作用には必ず反作用が伴うということで、例えば下半身の力で下(地面)へ力を加えれば、その反作用による力が下半身から返って来る。その力を拳に伝えることによって、拳から爆発的な力が発揮され、またそのようにしなければならないとのことでした。

「撃砕小」では、岡崎師範が全日本大会で気づかれた点を指導いただきました。はじめに、第2から第3動作の、前屈立ちから騎馬立ちへの移行において、騎馬立ちで崩れないように意識するあまり、前屈立ちの腰が高くなりがちであるため、普段より低い前屈立ちから騎馬立ちへの移行を繰り返し行いました。これにより体を引き付ける際に使われる大腿四頭筋が鍛えられます。次に、第7から第9動作において、移動してから内受けの準備をするのではなく、移動しながら内受けの準備をするようにとのことでした。次に第10動作の前蹴りを鋭くするために、第9動作からの足の引き付けをすばやく行う動作を繰り返し行いました。蹴りの速さはこの最初の腿の引き付けの速さで決まると館長はおっしゃっていたとのことです。さらに第10動作の突きを、あと2~3cm前に出すつもりで突くようにとのことでした。

この型強化練習会で、岡崎師範は『型は発力の集合体』であるということを繰り返し述べています。「三戦」は内面の力を収斂させる鍛錬型、「内歩進」は下半身の力を爆発させる鍛錬型であり、両方を継続することが重要であると。これらの鍛錬型においては、たまに長時間行うよりも、毎日10分継続する方が、はるかに効果が高いとも言われました。

岡崎師範が昔、館長から教わった型は「三戦」「内歩進」「最破」だけだったとのことで、その話しを聞いただけでもこれらの型の重要性が十分に伝わって来ます。

最後に余談ですが、以前読んだ沖縄古伝空手の本に、「形はナイファンチにはじまりナイファンチに終わる」という言葉がありました。また、ナイファンチはやればやるほど、その奥が見えてきて、その深遠さゆえに、それ以上進めなくなり、悩みぬく高段者もいると書いてありました。

ナイファンチが繰り返し稽古されるのは、この形が横の動きのみである点にもあるかと思います。人間は普段歩く際も前に歩き、相手との攻防に際しても前後の動きが中心になるかと思われます。そこで、横の動きを繰り返し行うことで、普段使われない部位や、重心移動の感覚が養われ、それが全ての動きに繋がってくるのではないかと。

この型強化練習会は、参加する度に、型の、空手の、そして武道の奥深さを感じます。型の稽古は、地味で単調で、かつ孤独なものという印象がありますが、それぞれの型や、その中での一つ一つの動作の持つ意味を知り、それがどのように組手や武道の動きに結びついていくのかを少しでもイメージできれば、逆に、稽古が楽しくなり、繰り返しも苦にならなくなるのではと感じています。 武道修行の究極の目的は「宇宙の摂理」を知ることと書いていた本もありました。いつかは、その一端でも垣間見ることができればと、明日からの稽古への気持ちを高めた今日一日でした。押忍。

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